グラスワンダー

グラスワンダー メイン画像1 (C)JRA

重賞競走

  • '97 朝日杯3歳S G1
  • '98 有馬記念 G1
  • '99 宝塚記念 G1
  • '99 有馬記念 G1
  • '97 京成杯3歳S G2
  • '99 京王杯スプリングC G2
  • '99 毎日王冠 G2

プロフィール

  • 父: Silver Hawk
  • 母: Ameriflora
  • 品種: サラブレッド
  • 性別: 雄(セン)
  • 毛色: 栗毛
  • 生年月日:1995年02月18日
  • 母馬所有者: Phillips Racing Partnership & John Phillips
  • 産地: U. S. A.
グラスワンダー メイン画像2

Catch up with Your Old Heroes 今、あの馬はどうしてる?

こちらに来て間もないが元気に過ごしています。

情報提供者:繋養者

Location & Conditions for Visitors 繋養者・見学条件

(C)JAIRS 撮影日 2024年4月24日
繋養展示場所
〒059-2425 北海道新冠郡新冠町明和138~10
 
明和牧場
展示時間
09時00分~11時00分
連絡予約
3日前まで
見学申込方法
競走馬のふるさと日高案内所 TEL 0146-43-2121
見学方法
希望により案内あり
厩舎内への立ち入り
不可
備考
マナーを守って見学をお願いします。
同じ繋養場所にいる功労馬

Pedigree 血統表

Race Record 競走成績

着順 日付 レース名 競馬場 芝ダ 距離
1 1997年12月07日 朝日杯3歳S G1 中山 1600
1 1998年12月27日 有馬記念 G1 中山 2500
1 1999年07月11日 宝塚記念 G1 阪神 2200
1 1999年12月26日 有馬記念 G1 中山 2500
1 1997年11月08日 京成杯3歳S G2 東京 1400
1 1999年05月15日 京王杯スプリングC G2 東京 1400
1 1999年10月10日 毎日王冠 G2 東京 1800
2 1999年06月13日 安田記念 G1 東京 1600
1 1997年10月12日 アイビーS オープン 東京 1400
主催者 レース回数 1着 2着 3着 着外 賞金
1997年 中央 4 4 0 0 0 114,694,000
1998年 中央 3 1 0 0 2 141,886,000
1999年 中央 5 4 1 0 0 435,066,000
2000年 中央 3 0 0 0 3 0
合計 中央 15 9 1 0 5 691,646,000
年度 表彰情報
1997年 最優秀2歳牡馬
1999年 特別賞

Stories コラム

2024年6月 ~グラスワンダーとの再会~

29歳になったグラスワンダーが静かに余生を送る明和牧場は、かつては何頭もの種雄馬を繋養し日本を代表するオーナーブリーディングの牧場でした。
当時の牧場は1990年代後半、オーナーの逝去に伴い現在のビッグレッドファーム明和となりましたが、事務職として働いていた浅川明彦さんが名義を引継ぎ、かつての明和牧場を支えてくれた名馬たちの墓を守りながら、現在はグラスワンダーや明和牧場名義最後の生産馬ハヤブササンサン(2013年生、父ネイティヴハート、母の父サンゼウス)など7頭の養老馬とともに牧場を守っています。
「グラスワンダーは、ビッグレッドファーム様からお預かりしている馬です。朝、放牧するときには走ったりするほどですから、年齢を考えれば元気ですけど、これくらいの年齢になると一気に弱るケースがあるので油断できません。」
と注意深く管理されています。
与えられている放牧地は、厩舎から最も近い場所。
隣には2010年の京都金杯を勝ったライブコンサートがいますが
「お互い20歳を超えていますので、気にしすぎることもなく適度な距離感で過ごしてます。」
厩舎から近い場所が与えられているのは足腰が弱っているからではなく、放牧、集牧する順番が関係しているとのことです。
高齢馬を扱ううえで
「特別なことをするのではなく、とにかく馬がストレスを感じないように。それを注意しています。」
例えば
「まだ大丈夫ですけど、歯は少しずつ弱ってきています。」
と言いながらも青草を与えているのもそのひとつだそうです。
「噛めばストレス解消になりますし、咀嚼することで唾液が出る。やはり『草を噛む』という行為は馬にとって必要なことだと獣医師の方もおっしゃっていました。」
この日もグラスワンダーは、与えられた青草をしっかりと噛んでいました。
ただ、やはり弱っている歯では完全にかみ砕くことが出来ないこともあるそうで、消化が悪い燕麦はやめて、ビートパルプを柔らかくしたものと、粉末状に砕いた乾牧草を与えているそうです。
「グラスワンダーはグルメなんですよ。」
と苦笑いの浅川さん。
聞けば、北海道で一般的に栽培されているチモシー種の牧草は好きではないそうで、ルーサン(アルファルファ)を好んで食べるそうです。
「ただ、ルーサンは栄養価が高いので、与えすぎないように注意しています。与えるエサの中に少しだけ混ぜて好んで食べてもらえるようにしています。」
また、草の長さにもこだわりがあるようで
「青草は長すぎても嫌がるし、短すぎても食が進まない。」
ずっと同じ種類の牧草を与えていると味に飽きてくるのか少しずつ残すようになり、逆に急に種類を変えると食べないこともあるそうです。 
そんな悠々自適な生活。
現在は朝5時くらいから放牧しますが、昼前くらいには厩舎に戻すことが多いそうです。
「放牧時間は、馬の体調と天気次第で決めています。涼しければよいのですが、暑くなるとアブが出てくるので早めに集牧します。」
夏と冬では、やはり冬の方が好きなようですが、1年で最も体調が良くなるのは春シーズンだそうです。
「長く種雄馬生活を送っていたので、春になると自分で体調を整えるのかもしれません。それくらい、この馬は賢いです。」
放牧地でゴロンとすることも珍しくないそうでブラッシングは欠かせませんが
「夏は暑熱対策の意味も込めてシャワーを使います。馬も気持ちよさそうですよ。」
そんな29歳の初夏。
「いわゆる持病みたいなものはなく、馬は年齢を考えれば元気です。でも、年齢を考えればすべてが心配です。」
長く高齢馬を扱ってきた浅川さんならではの言葉かもしれません。
「2020年に移動してきましたから、それなりに長い付き合いになってきました。1日でも長く元気に、この馬らしく過ごして欲しいと思います。長い種雄馬生活を送ってきた馬ですから、子供も、孫も、ひ孫も競馬場で活躍してくれているのはやっぱり嬉しいですし、応援しています。」
と笑顔で話してくれました。
そんなお話を伺っていると敷地内にあるハイセイコーや凱旋門賞優勝馬サンサン、皐月賞馬ハワイアンイメージの墓碑に手を合わせる若者の姿がありました。現在は新型コロナの感染拡大防止の意味もあって見学はご遠慮いただいていますが、近く再開されるかもしれません。
これは、グラスワンダーに限った話ではありませんが、ウマという動物は草食動物です。なので、例えそれが人間であっても『他の動物に見られる』というのはやはりストレスになるのです。
しばらく、そういった環境に置かれていなかった馬たちならばなおさらでしょう。
見学再開の際は、そんなことも頭の片隅に置いていただければ幸いです。